脂肪燃焼効果が高まる「Zone 2」とは?運動初心者にもわかりやすく解説

「脂肪を燃焼するなら、激しい運動をしたほうがいい」

そう考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、運動中に脂質をエネルギーとして利用しやすいのは、息が切れるほど激しい運動ではなく、比較的ゆっくりと長く続けられる運動です。

このような運動強度は、一般的に「Zone 2」と呼ばれています。

Zone 2トレーニングは、運動初心者でも取り入れやすく、持久力の向上や生活習慣病の予防にも役立つ可能性があります。

今回は、Zone 2の特徴や脂肪燃焼との関係、具体的な運動方法について、科学的根拠をもとにわかりやすく解説します。

目次

Zone 2とは?

Zone 2とは、心拍数や運動強度をいくつかの段階に分けたときの、比較的低〜中程度の運動強度を指します。

一般的な5段階の心拍Zoneでは、次のように分けられます。

・Zone 1:非常に軽い運動
・Zone 2:軽い有酸素運動
・Zone 3:ややきつい有酸素運動
・Zone 4:きつい運動
・Zone 5:最大に近い運動

Zone 2は、ウォーキングや軽いジョギング、ゆっくりとしたサイクリングなどを、ある程度長く続けられる強度です。

呼吸は少し弾みますが、完全に息が上がるほどではありません。

感覚的には「楽ではあるけれど、運動している実感はある」という程度です。

ただし、Zone の定義は、心拍数、最大酸素摂取量、乳酸値など、何を基準にするかによって異なります。

そのため、「最大心拍数の何%なら必ずZone 2」と一律に決められるものではありません。

なぜZone 2では脂肪が使われやすいのか?

身体を動かすための主なエネルギー源には、脂質と糖質があります。

運動強度が低いときは、身体がエネルギーを急いで作る必要がないため、脂質を比較的多く利用できます。

一方、運動強度が上がると、素早くエネルギーを作りやすい糖質の利用割合が増えていきます。

脂質の酸化量は、運動強度が上がるにつれて一定のところまでは増加しますが、強度が高くなりすぎると低下する傾向があります。

この脂質の利用量が最も高くなる運動強度は「FATmax」と呼ばれています。

研究では、FATmaxは多くの場合、低〜中強度の範囲に現れます。ただし、具体的な強度には大きな個人差があり、必ずしも一般的なZone 2と完全に一致するわけではありません。

つまり、Zone 2は「脂肪だけを燃やすゾーン」ではなく、「糖質も使いながら、脂質を比較的利用しやすい強度」と考えるのが正確です。

Zone 2の目安は?

Zone 2を正確に測定するには、運動負荷試験や呼気ガス分析などの専門的な検査が必要です。

しかし、一般的な運動では、心拍数や会話のしやすさを使っておおよその強度を確認できます。

心拍数を使う方法

簡易的には、Zone 2を最大心拍数の約60〜70%前後とする方法があります。

最大心拍数は、次の計算式で推定できます。

最大心拍数 = 208 − 0.7 × 年齢

例えば40歳の場合は、

208 − 0.7 × 40 = 180拍/分

推定最大心拍数は約180拍/分です。

その60〜70%を計算すると、約108〜126拍/分がひとつの目安になります。

ただし、推定最大心拍数には個人差があります。薬の服用、運動経験、体調、測定機器の精度などによっても心拍数は変わるため、数字だけで厳密に判断する必要はありません。

会話のしやすさで確認する方法

運動初心者には「トークテスト」がわかりやすい方法です。

Zone 2の感覚は、一般的に次のように表現できます。

・呼吸は普段より少し速い
・文章で会話できる
・歌を歌い続けるのは難しい
・30分以上続けられそう
・自覚的運動強度は10段階で3〜4程度

会話がほとんどできないほど息が上がっている場合は、Zone 2よりも強度が高くなっている可能性があります。

反対に、呼吸がまったく変わらない場合は、強度が低すぎるかもしれません。

Zone 2でおすすめの運動

Zone 2トレーニングには、同じ動きを一定時間続けられる有酸素運動が適しています。

例えば、次のような運動があります。

・速歩き
・軽いジョギング
・サイクリング
・エアロバイク
・ローイング
・水泳
・階段や傾斜を使ったウォーキング

大切なのは、種目そのものではなく、呼吸や心拍数をZone 2に相当する範囲で維持することです。

ジョギングで強度が高くなりすぎる方は、ウォーキングでも十分です。

反対に、運動習慣がある方は、通常のウォーキングではZone 2まで心拍数が上がらないことがあります。その場合は、歩く速度を上げたり、傾斜をつけたりして調整しましょう。

Zone 2はどれくらい行えばいい?

運動初心者は、まず1回20〜30分、週2〜3回程度から始めてみましょう。

慣れてきたら、1回30〜60分へ少しずつ時間を延ばしていきます。

公的な身体活動ガイドラインでは、成人に対して、週150〜300分の中強度有酸素運動、または週75〜150分の高強度有酸素運動が推奨されています。

最初から週150分を達成する必要はありません。

例えば、次のように分けても構いません。

・30分を週5回
・50分を週3回
・平日に20分ずつ、休日に長めの運動
・1日の中で10〜15分ずつ分けて行う

大切なのは、無理のない範囲から始めて、継続できる運動量を少しずつ増やすことです。

Zone 2トレーニングのメリット

1.脂質をエネルギーとして利用しやすい

Zone 2のような低〜中強度の運動では、高強度運動と比べて、消費エネルギーに占める脂質の割合が高くなる傾向があります。

継続的に行うことで、運動中に脂質を利用する能力の改善も期待できます。

2.長時間続けやすい

Zone 2は疲労が比較的少なく、運動初心者でも運動時間を確保しやすい強度です。

運動による消費エネルギーは、強度だけでなく、運動時間や頻度にも影響されます。

無理に強度を上げて短時間で終わるよりも、適切な強度で継続できることが大きなメリットです。

3.持久力の土台をつくれる

低〜中強度の有酸素運動を継続すると、酸素を使ってエネルギーを作る能力の向上が期待できます。

その結果、日常生活やスポーツ中に疲れにくくなり、より長く身体を動かしやすくなります。

ランニングやHYROXなどの持久系スポーツに取り組む方にとっても、Zone 2は基礎体力をつくるための重要なトレーニングです。

4.身体への負担を抑えやすい

高強度トレーニングと比べると、筋肉や関節への負担、運動後の疲労を抑えやすいことも特徴です。

激しい運動を毎日行うのは難しくても、Zone 2であれば日常生活に取り入れやすく、継続的な運動習慣につなげられます。

「Zone 2をすれば必ず痩せる」は本当?

ここは、特に誤解されやすいポイントです。

Zone 2では、運動中に脂質が利用される割合は高くなります。

しかし、「運動中に脂質を多く使うこと」と「長期的に体脂肪が減ること」は、まったく同じ意味ではありません。

体脂肪を減らすためには、一定期間において、摂取エネルギーよりも消費エネルギーが多い状態をつくる必要があります。

高強度運動では、脂質の利用割合が低くても、1分あたりのエネルギー消費量が多くなることがあります。

研究でも、適切に行われた高強度インターバルトレーニングと中強度の持続運動では、体脂肪減少への効果に大きな差が見られないとする報告があります。

つまり、Zone 2だけが特別に痩せる運動というわけではありません。

Zone 2の本当の強みは、次の点にあります。

・運動初心者でも取り組みやすい
・比較的長く続けられる
・疲労を管理しやすい
・運動頻度や運動量を確保しやすい
・脂質を利用する能力や持久力の向上が期待できる

脂肪を減らすには、Zone 2に加えて、食事管理、筋力トレーニング、睡眠、日常の活動量なども重要です。

筋力トレーニングと組み合わせるのがおすすめ

ダイエットを目的とする場合、Zone 2の有酸素運動だけに偏る必要はありません。

筋力トレーニングには、減量中の筋肉量を維持したり、身体機能を高めたりする役割があります。

例えば、1週間の運動を次のように組み合わせる方法があります。

・Zone 2の有酸素運動:週2〜3回
・全身の筋力トレーニング:週2回
・余裕があれば短時間の高強度運動:週1回
・日常生活では歩数や移動量を増やす

実際の回数は、年齢、体力、運動経験、生活スケジュールによって調整しましょう。

継続できることを優先し、いきなりすべてを取り入れないことも大切です。

Zone 2を行うときの注意点

運動中に胸の痛み、強い息苦しさ、めまい、冷や汗、動悸などを感じた場合は、すぐに運動を中止してください。

持病がある方、運動を医師から制限されている方、長期間運動をしていなかった方は、事前に医師や専門家へ相談することをおすすめします。

また、手首で測定するスマートウォッチの心拍数は、運動の種類や装着状態によって誤差が生じることがあります。

表示される心拍数だけを追いかけず、呼吸の状態や身体の感覚も合わせて確認しましょう。

まとめ|Zone 2は「無理なく続けられる」ことが大きな魅力

Zone 2は、呼吸が少し弾みながらも会話を続けられる、低〜中強度の有酸素運動です。

この強度では、脂質をエネルギーとして利用する割合が比較的高くなり、継続することで持久力や脂質代謝の改善も期待できます。

ただし、Zone 2を行うだけで必ず体脂肪が減るわけではありません。

ダイエットでは、運動全体の消費エネルギー、食事、筋力トレーニング、睡眠などを総合的に考える必要があります。

「きつい運動を短期間だけ頑張る」のではなく、「無理のない運動を長く続ける」。

それが、Zone 2を上手に活用するための大切な考え方です。

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参考文献

Contextualising Maximal Fat Oxidation During Exercise:International Journal of Sports Medicine

Toward Exercise Guidelines for Optimizing Fat Oxidation During Exercise:Sports Medicine

Chronic Effect of Fatmax Training on Body Weight, Fat Mass, and Cardiorespiratory Fitness in Obese Subjects:Sports

Effect of High-Intensity Interval Training vs. Moderate-Intensity Continuous Training on Fat Loss and Cardiorespiratory Fitness:International Journal of Environmental Research and Public Health

Physical Activity Guidelines for Americans, 2nd edition:U.S. Department of Health and Human Services

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この記事を書いた人

NOTA GYMは、現役の理学療法士としての知識と経験をもとに、一人ひとりの身体づくりに寄り添うセミパーソナルジムです。運動初心者の方から身体機能の改善を目指す方まで、それぞれのお悩みや目的に合わせたサポートを行っています。

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